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レジャー2024-11-16 04:24:1254811
新潮新人賞を受賞しデビュー・小池水音さん「喪失」が書く始まり「創作というものを切実に求めるようになった」スポーツ報知
慶応大時代
、新潮新人小池囲碁の授業が好きだったという小池水音さん(カメラ・瀬戸 花音)

 2020年に「わからないままで」で第52回新潮新人賞を受賞しデビューした小池水音(みずね)さん(32)の新作「あのころの僕は」(1760円 、賞を受賞水音喪失が書く始集英社)は、しデビュー・さんまりというものをめるようになった5歳で母親を亡くした少年が主人公の物語だ。創作これまでも大切なものの喪失を描いてきた小池さんは「どうして人は悲しみ続けていてはいけないのか」という疑問を持ち、切実に求作品を書き続けている  。新潮新人小池csファイナルステージ 何勝(瀬戸 花音)

 高校生になった少年・天(てん)が、賞を受賞水音喪失が書く始母親を亡くした「あのころの僕」を振り返る  。しデビュー・さんまりというものをめるようになった母とのおぼつかない思い出  、創作名前をつけられなかった自分の感情 、切実に求転入生のさりかちゃんとの「ハツコイ」…5歳の男の子がいっぱいいっぱいに生きた「あのころ」を繊細に描いた物語だ。新潮新人小池「誰かと別れて 、賞を受賞水音喪失が書く始その後生きていく中で 、しデビュー・さんまりというものをめるようになった悲しみだとか喪失感っていうものとどういう距離感をとるのか 。創作その喪失をどうして悲しみ続けていちゃいけないのか 。切実に求僕はそれをこれまでもずっと一貫して考えてきました 。今回は、大人のように悲しむということができない天くんの『今何が起きているんだろう』っていう迷子のような感覚を描いたのですが、大人もきっと似たような感覚を抱くことがあると思うんです」

 小池さん自身の「季節外れの死」の経験が「喪失」を書く始まりとなっている。j220歳の時 、6歳上の姉が亡くなった 。「人は誰しも死ぬんですけど 、誰も死ぬとは思っていなかったいわゆる『季節外れの死』を経験してしまうと 、喜びとか悲しみとか、いろんな感覚がそれまでとは変わってくる 。そうなって 、自分の日常とは異なる時間の速度や密度を持つ小説というものへ意識が向いていきました  。創作というものを切実に求めるようになったのは、長く生きればまだいろんなことができたはずの姉の死があったからだと思います」

 姉を亡くした当時 、大学の図書館で本をあさり続けた。「ずっと本を探して読んで 、探して読んで 。図書館でふらふらっと倒れた瞬間に、目の前に見えた本に手を伸ばしたこともありました」

 喪失からくる創作物への切実な思い。そして 、本作で喪失と同時に描かれたみずみずしい子供たちの生きざまも自身の経験を踏まえてつづられている 。「大学時代 、幼稚園でアルバイトをしていました 。命がまだここでみずみずしく育まれているということを日々目にできることは、当時、姉を失った僕にとってものすごく大切な時間でした。子供も自立したありありとした感情を持っていて、何かを企てて、考えて 、時に達成する。それを目の前で見てきたからこそ一般的な大人が想像する子供像に合わせて手加減することはしなくていいと考えて書きました」

 繊細で清らかな書き味は、海外の翻訳本を読みあさった読書体験からくる。「翻訳で書かれる言葉って 、やっぱり言語を超えて、違う文化圏の人々に届かせる親切心がある。それは多分日本語小説を書く日本の小説家たちが書く甘えを排した精緻(せいち)さみたいなものに支えられてある文章で。僕はそんな海外の翻訳された本を中心的に読んできた。だからそれが自分の文章に影響があってほしいという願望のような思いはあります」

 現在 、雑誌の編集として出版社で働きながら執筆活動を続けている。「どんなに遠いものを書こうとしても 、きっとそういうものが引き出されてくる」とこれからも「喪失」と向きあうつもりだ。

 一方 、作家としてのきらめく夢もある。「純文学という世界に身をおいて4年。市場としてはもちろん厳しいものもあると思うけど 、すさまじい才能がたくさん集まっている世界だというのも感じるんです 。今 、サッカーだとプレミアリーグがすごいといわれますが、小説においても同世代のすさまじい才能を持った人が 、日本にも世界にもたくさんいるんです。それこそプレミアリーグのベストイレブンのような小説家たちのことをもっとたくさんの人に知ってもらいたい 。そしてその中に自分の作品もあれるように頑張りたいです」

 言葉と思いに誠実な作家は終始穏やかな声色で語った。

小池さんが選ぶ おすすめ一冊

 町屋良平「ほんのこども」(講談社刊)

 現代作家の中で戦争というものに取り組み続けてきた人は数多くいますけれど 、戦争を知る世代が失われていくことが色濃くなったこの時代 。大きな暴力を書く方法を一つ、その作家でしかできないやり方で見つけた一冊です。

 これから先、日本における小説家のとても大きな使命は戦争というものをいかに書き続けるかだと僕は思っています。直接証言できる人がいなくなる近い未来で 、肉声とは異なる回路を通していかにその大きな暴力を書けるか 。この作品では現代を生きる我々が実感できる方法でその暴力を書くことが達成されています 。圧倒されると同時に、その方法で戦争を描けるということは、これからの小説家の大きな励みともなると思う。(談)

 ◆小池 水音(こいけ・みずね)1991年、東京都生まれ 。33歳。慶大総合政策学部卒業 。出版社に入社し 、ライフスタイル誌の編集者として働く 。2020年「わからないままで」で新潮新人賞受賞 。22年発表の小説第3作「息」が三島由紀夫賞候補に 。趣味は大学の授業ではまった囲碁。

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